うちの「モモ」は16歳のおばあちゃんです。
わたしが思わぬ病名がついて長期入院を余儀な
くされてようやく退院したらちゃっかり家に居
た小さな犬です。家人にきくと何が混じってい
るのか分らない雑種とのこと。
「ねずみ」のような変な犬だと思いました。
それから暫くわたしは一日の大半をベッドの上で過ごし ぼんやりとテレビを見続ける毎日を過ごし
ておりました。それまでのサラリーマン生活はひどいもので 能力もないのに難儀な仕事ばかりが降
りかかって来ました。合併プロジェクト 不祥事の監督官庁対応 組織のリストラなどです。
前例のない手探りの仕事ばかりを担当させられました。酒も飲まず遅くに町田まで帰る生活です。
悩んだ末に退職願を妻に頼んで届けてもらい区切りをつけました。
「三年寝太郎」という民話があります。ろくに仕事もせずに寝てばかりの男が突然起き出し民衆のた
めに力を尽くす話です。まずは なまった体を元に戻そうとモモとの長距離散歩が日課となりました。
だんだんストイックになっていき午後3時になると散歩に出かけ6時に帰ります。
獣医にはモモの筋肉がすばらしいと言われた記憶がありました。
冬場は夜明けまで待てず懐中電灯片手の散歩もしていました。人っ子一人いない散歩道でリードをは
ずしてフリーにしても どこかへ行ってしまう犬ではありませんでした。いつもわたしの膝の脇を歩い
てくれるかわいい犬です。
モモは自分でエサを食べられなくなりました。特別な器具で注入しています。点滴もしていますがわ
たしの帰宅時にはのそのそと寄ってきて挨拶するのを忘れません。
石井 力
※ ワンコシリーズの投稿をお待ちしています。どうぞよろしく。
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