今回は札所、お寺に関することを。
お遍路では1番から88番まで88カ所のお寺を回ります。
回り方に決まりはありません。どこから始めてどう回ろうが勝手です。
最も多いのは順打ちと言われる1番から88番へと順番に回っていく方法です。
その逆に88番から1番へと回るのが逆打ちです。1回で全て回るのを通し打ち、一部を回るのを区切り打ちと言っています。通し打ちは時間的に余裕のある高齢者が多く、区切り打ちは仕事がある若い世代が多いようです。
道しるべを頼りに札所(お寺)に着くと、山門で一礼。
門をくぐり水屋にて手と口を清め、鐘楼堂で鐘を搗きます。都会では中々鐘を搗く機会がありませんが今回の道中では何十回と搗かせてもらいました。
その後本堂と大師堂に参拝。それぞれで灯明し線香をあげ、納札を入れ、般若心経を唱えます。ベテランの方は朗々と節をつけてお経を唱えますが、初心者の私は経本を見ながら他人に聞こえない程度の声で棒読み。その後に納経所で納経帳に御朱印をもらいます。料金は300円ですが、掛け軸にもらう場合は少し高いようです。
中には、お寺に着くとお経を唱えることもなく納経帳に御朱印をもらって終りという人もいるようです。スタンプラリーの感覚です。
私を含め多くの人はお経を唱えますが、中にはお経の代わりに尺八を奏でる人も。
この方は四国在住、2回出会い雑談を交わしました。
また、法螺貝を吹く方にも出会いました。山の上にあるお寺で参拝を終えて下る途中で法螺貝の音が聞こえました。その音を聞きながら更に下っていくと郵便局の車が止まっていました。通る人も車も少ない所で、サボって趣味の法螺貝を吹いているのかと想像しながら近付き、法螺貝を持っている人に話しかけました。すると、サボっていると思ったのはとんでもない誤解で、これから神聖なお寺の領域に入らせていただきますよと挨拶に法螺貝を吹いている。毎回のことだそうです。初めて間近に見たので持たせてもらいました。手にしてみると、意外に大きく重く感じられました。法螺貝の吹き方にも山(修験の)により、多くの流派があることなど教えてもらいました。
この後訪れた61番香園寺では現代的な立派な本にびっくりしました。写真のように堂々とした鉄筋コンクリート造りで、中はまるで大ホール。
お寺を巡り、お経を唱え、1200㌔を歩く。本を読むと「何か心にあるから回る、何もない人はやらない」とありました。私は、ただ歩いてみたい、それだけでしたが、徐々に過去と未来(70歳を過ぎて大した未来もありませんが)に思いを馳せながら回ろうと心掛けるようになりました。
林 潤(S48経営)
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